間垣親方は、日本の国技である相撲の頂点・横綱にまで登りつめた男、いまは後進の指導に情熱を注ぐ。それを迎える下条代議士は、学生時代に応援団に所属し、団長を務めたこともある自称バリバリの体育会系国会議員。
少し元気のない若者たちに先輩として範を示そう、国技館に連日満員御礼の熱気を取り戻そう、信頼を失いかけている政治に喝を入れようetc.と、2人の熱い思いは留まることを知らずにほとばしり出た。
支えあって角界の頂点に立つ
- 下条
- 角界という厳しい世界で最高位の横綱にまでなられました。子どもの頃から強かったのでしょうね。
- 間垣
- 水泳や、地元・青森の大鰐スキー場で練習したジャンプが得意で、たくさん賞をもらいました。でも、相撲では県大会に行くほどの力はなかったんですよ。
- 下条
- もともとバネがあるんですね。なぜ相撲界に?
- 間垣
- 青森の英雄だった二子山親方(初代若乃花)がスカウトに来たとき、その場で入門を決心しました。その時、お袋は婦人会の旅行中。帰ってからわんわん泣きながら俺をひっぱたきました。6人兄弟の末っ子で成績もよかったから大学を出して町役場に勤めさせるのが夢だったんですね。
- 下条
- 母親の気持ちですね。
- 間垣
- でも町会議員だった親父が「たぶん出世はしないだろうけれど、一人前になるまでたばこを吸わないと約束できるなら許す」と。中学3年の6月に夜行列車で上京してから、3年間は両親とは一度も会わずに修行に励みました。
- 下条
- まだ子どもといえる年齢ですから、寂しかったでしょう。
- 間垣
- 実は、東京見物をして帰るつもりで一緒に上京した現・鳴門親方(隆の里)を引き止め、説得して入門させたんです。1人じゃ寂しかった(笑)。
- 下条
- でも、結果的には二人とも横綱になられた。
- 間垣
- 脱落するやつも多い中、同期の二人で支えあったのも大きいですね。
礼節とチームワークを重んじる教育が必要だ
- 下条
- 私の学生時代の応援団は厳しく、何回か血を吐きました。今はそれもよい思い出です。親方もさぞや厳しい鍛錬を・・・。
- 間垣
- いまは5時半からですが、僕らの頃は真っ暗な3時半から朝稽古が始まりました。約40人いた弟子のうち、早いもの勝ちで10人前後しか土俵上での稽古ができないから、2時半には起きて順番を取る。稽古できないとケガにつながるから、必死でしたね。
- 下条
- 一番苦しかったことは?
- 間垣
- 17歳の頃にヘルニアを患ったこと。福島の山奥で約50日間、早朝から温泉入浴を繰り返し、その後も休み毎に通って・・・2年近く、夏でもさらし二反を腰に巻いた上に毛糸の腹巻、カイロを3つ入れて暖めるのが治療。相撲人生の中で、あれが一番辛かった。
- 下条
- やめようと思ったことは?
- 間垣
- 相撲をやめて田舎に帰ると、お袋の顔を潰すことになるからね。トイレで涙を流しても、青森の「じょっぱり魂」でやるしかなかった。20歳で十両に上がったときが一番嬉しかったね。
- 下条
- 横綱になったときよりも、ですか?
- 間垣
- 十両に上がると、待遇が激変するんですよ。大銀杏に化粧まわし、本場所用のまわしは木綿から本繻子になって、付き人がつき、給料が貰える。そこから落ちたくない一心で、また稽古に励むわけです。
- 下条
- 応援団では先輩後輩のけじめが厳しく、先輩の言うことは絶対。でも、それで礼節やチームワークを重んじるようになりました。
- 間垣
- 角界は後から入門しても年下でも、番付が上になると、昨日までの兄弟子に背中を流してもらう立場になる。だからこそ互いを尊重し、伝統を背負っていく責任感が生まれるのだと思いますね。
- 下条
- その姿が凛々しくてかっこいいんだなぁ。いま、若い世代の生活力や社会性のなさが問題視されていますが、良し悪しは別として体育会系の心身の鍛え方の中に、いくつかのヒントがあるように思います。
次世代の手本になる仕事をする
- 間垣
- 若い人は先輩の背中を見て育つもの。その手本になる力士を育てたい。
- 下条
- 政治の世界も同じです。いまの政治不信の原因は、政治家自身の姿勢にある。まず自らの襟を正し、「この政治なら」という信頼を取り戻すことからです。初心を忘れず、地道にやりたいと思います。
- 間垣
- 部屋を構えて20年。最近、心から基礎が大事だと思うようになりました。弟子には「徹底して四股、すり足、てっぽう、股割りの基礎をコツコツやれ、そうすれば強くなる」と言い聞かせます。
- 下条
- 政治も似ています。パフォーマンスは、即席でつくった造形物のようなもので、叩けば壊れやすい。でも、半紙を1枚ずつ貼り重ねるような地道な活動は、一定の厚さになると思わぬ強度を発揮します。
- 間垣
- これからの世代のために、先輩として手本になる仕事をしていきましょう。
- 下条
- 今後ともこの「友情」を大切に頑張りましょう。





